2011年12月18日日曜日

「シャーロッキアン!」という漫画面白いです

『シャーロッキアン!』池田邦彦(双葉社)


 シャーロキアンとは名探偵シャーロック・ホームズをコナン・ドイルが創作した架空の人物と考えるのではなく、19世紀のロンドン・ベイカー街に実在した探偵だと考える熱狂的なシャーロック・ホームズファンであり研究家の人たちのことです。世界最古のオタクと呼ぶ人もいます。


 シャーロキアンたちはシャーロック・ホームズ作品に表れる矛盾点をコナン・ドイルの書き間違いとは考えません。(そもそもシャーロキアンにとってホームズ作品の作者はコナン・ドイルではなく、作中でホームズの事件を記録するワトソン博士です)なので一般人だと単純にドイルが記憶違いで書き間違えたと思えるワトソン博士の怪我の箇所に付いても様々な解釈があるようです。いわゆるテクスト主義というやつですね。


 


『シャーロッキアン!』はそんなシャーロキアンの面白さをユーモアや人情や涙をまじえて紹介してゆきます。ワトソンが戦争から復員してくる原因となった怪我の箇所がなぜ作品によって違うのか、ホームズはなぜ切り裂きジャック事件を捜査しなかったのか、ワトソン夫人が夫の名前を呼び間違えるのは浮気していたからなのかなど興味深いエピソードが満載です。そこから物語は展開していって、ホームズやシャーロキアンの紹介にとどまらない『カレチ』で知られる池田ワールドが展開されます。『シャーロッキアン!』2巻が待ちどうしいです。

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